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  3. 発展途上国での普及を目指すエコサントイレ

エコサントイレとは?

エコサントイレというものを聞いたことがありますか。
正式名称を「エコロジカルサニテーショントイレ」といい、環境衛生式トイレという意味です。
特別な仕掛けがあるわけではない、地面の上に建てた高床式のトイレですが、このエコサントイレにはメリットがあります。

エコサントイレが必要となる場所は、アフリカのマラウイやケニアなど発展途上国です。
発展途上国では衛生的なトイレが設置されていないところが少なくありません。
穴を掘ってあるだけのトイレや物陰で済ませるという屋外排泄というものが主となっています。
すると雨が降った際に汚水が流れ出し、感染症や下痢を引き起こすことがあるのです。

循環の仕組み

高床式のエコサントイレなら、雨で便や尿が流れ出すこともないので、汚水で河川、土壌を汚すことはなくなります。
水環境、生活環境が向上し、下水環境が向上することで感染症や下痢を予防することにもなるのです。

排便後はその都度灰をかけて半年間寝かせることで、たい肥として土に返すことができます。
また便と分けた尿は水で薄めて液肥にし、農業に生かすのです。

エコサントイレから作られる肥料は農業生産性を1.2〜2.5倍向上させます。
高価な化学肥料を使わなくてもよくなるということも嬉しいポイントです。

作物が豊富に収穫できるようになれば、人々の食生活も豊かになります。
たくさん栄養を摂取して、またエコサントイレで排泄、というように循環していくのです。

エコサントイレのメリット

エコサントイレのメリットは大きく分けて3つあります。
まず1つ目は設置することで地域の環境が改善されることです。
エコサントイレの使い方を正しく知ることで、衛生に関する知識も身に付きます。
物理的に環境を改善するだけでなく、衛生管理の仕方を知り環境をキープできるようになるのです。

衛生管理がきちんとできていない地域では、免疫力の弱い子供たちが犠牲になることが多くありました。
エコサントイレは守れる命も増やすということになるのです。

2つ目に質の良い土壌の畑が作れるということです。
エコサントイレから作られる肥料はサラサラしており、使いやすい肥料になっています。
自然と土に還り、豊かな畑ができるのです。

そして3つ目に化学肥料の使用を減らせるということがあります。
化学肥料を使わず、エコサン肥料でも作物は問題なくよく育つのです。

環境も命も両方守る

衛生管理が整った世界に暮らしていると想像がつかないかもしれませんが、トイレ一つで大きな問題となることがあるのです。
発展途上国におけるエコサントイレは、地域の環境も人々の命も守る素晴らしい取り組みだといえます。

もうすでにマラウイでは1,000基以上のエコサントイレが建てられています。
現在でもケニア西部を中心に建てられているということで、この取り組みはこれからもますます広がっていくことでしょう。