熱を再利用する方法
リサイクルというと、プラスチックのように、具体的に形があるものを再利用することをイメージする方が多いのではないでしょうか。
実際、こういったものがリサイクルされていることが多いのですが、リサイクルが行われているのはこういったものばかりではありません。
昨今新しい取り組みとして行われるようになっているリサイクルの形の1つとして「サーマルリサイクル」というものがあるのをご存知でしょうか。
ここでは、この「サーマルリサイクル」がどのような意味を持っているのかについて紹介します。
サーマルリサイクルという言葉の「サーマル」というのは、熱という意味を持っている英語です。
サーモグラフィーの「サーモ」と同じ語源を持っている言葉だというと、分かりやすいのではないでしょうか。
それでは、サーマルリサイクルというのは実際のところどのような理念と理論でもって行われているものなのでしょうか。
サーマルリサイクルにおいて大きなポイントとなっているのは、ゴミの焼却の際に発生することになる「熱エネルギー」の再利用です。
ゴミ、特に燃やせるゴミに関してはその燃焼において非常に高熱な焼却炉が使用されています。
ゴミとはいえ可燃物が多い以上は燃料として機能するようになっており、これによって炉内の温度はさらに高温なものとなります。
この時に発生する熱エネルギーを回収し、別のものに利用できるようにする、というのがサーマルリサイクルの意味となっています。
現実のサーマルリサイクルの事例
それでは、実際の社会の中でサーマルリサイクルの取り組みとして行われていることにはどのようなことがあるのでしょうか。
最初に紹介するのは、清掃工場における排熱の再利用機能についてです。
サーマルリサイクルによって発生する熱をエネルギーに転換することによって、例えば施設内や地域の冷暖房の電力として使用する、というような事例が見られるようになっています。
また、ゴミ発電やエコセメント化と呼ばれるような取り組みも行われるようになっており、その形式は非常に幅広いものであることが分かります。
特にこのサーマルリサイクルについて考える時に大きなポイントとなっている場所が埼玉県で、埼玉県では「彩の国資源循環工場」というものが建設されており、これによって様々なリサイクルが行われてきました。
この枠組の中にサーマルリサイクルも含まれています。
サーマルリサイクルは、ゴミを処理しているものではあるものの、熱というものを再利用しているために「ムダの少ないごみ処理」を行っている点がポイントとなっています。
そのため、国の定める3Rの枠組の中でも、リサイクルに分類されることが多くあります。
いろいろな形でのリサイクルが期待されていると言えるでしょう。