プラスチック包装材使用が禁止に、脱プラスチック国を目指す
環境に対する意識が非常に高い欧州地域ですが、フランスはその中にあってかなり政策が大きく変動した国と言えます。
過去の政策ではフランス国内における電力供給は原子力発電所を中心に行ってきたのですが、2015年7月22日に施行された「エネルギー転換法」により、原発の大幅削減とともに化石燃料消費量の廃止をするなど一気に環境保全のための舵切りが行われることとなりました。
エネルギーについて今後は環境先進国であるイギリスやドイツ、北欧諸国と並ぶ厳しい基準で対応をしていくことになるようです。
さらに2017年からはマクロン新大統領に政権が変わったことで、選挙期間中から公にしてきた環境・エネルギー政策を推し進めることになっています。
具体的には2025年までに原子力発電比率を67%から50%にまで削減することや2022年までに石炭火力発電をすべて廃止すること、石油燃料の消費を抑制するためにガソリン・ディーゼル燃料に増税をするといったことです。
化石燃料が将来的に大幅削減~廃止を目指されることでそれまで当たり前に使用されてきたプラスチック製品も今後別のものに代替されることになります。
2020年にはプラスチック素材のストローやカップなどが全面的に使用禁止となることが定められており、2025年からは脱プラスチック国となることが目指されています。
これまではプラスチック製品はゴミとして出されたものはリサイクルという形で環境保全活動をしてきたのですが、これが全面的に廃止となりもし使用した時には罰金が課せられるという非常に厳格な制限が着けられることとなります。
既に社会的に脱プラスチックの動きは進んでおり、スーパーマーケットでの袋にプラスチック製のものは禁止となり、リサイクル不可能なプラスチックで包装された商品は2019年から10%の罰金加算がつきます。
プラスチック規制によりフランスの経済活動にも大きな変化
上記のような今後の展開を見ていくと、かなり急激に厳しい方向転換がされているような印象があります。
なぜ急激にここまでのことがされることになったかというと、これまでフランスが環境の意識が高い国々が多い欧州において環境後進国とまで言われてきたことが関係しています。
フランス国内においてはリサイクル意識がまだまだ低く、全プラスチック製品のうちリサイクルされているのはわずか25%にとどまるということです。
これにより2015年の調査では年間800万トンのプラスチックが海洋に流されておりこれがヨーロッパ近海の環境を著しく悪化させているということが指摘されていました。
裏返すとこれまでは他国と比較してかなりゆるい基準で製造をしてきたフランスのプラスチックメーカーは窮地に立たされることになります。